
TAMA : 先ずドラムを始めたきっかけを教えて下さい。
そうる透(以下そうる) : もともと僕はピアノをやっていたんだけど、5歳の時に幼稚園で鼓笛隊に入るきっかけがあって、それからだね。ある時幼稚園の先生に、『この子は何か叩かせた方がいいんじゃない?』って言われて、大太鼓を叩かせてもらったの。今からもう42年前のことだなー。
TAMA : その後プロドラマーとしてのデビューも早い時期でしたよね?
そうる : そうそう、12歳の時にコマーシャルのちょっとしたレコーディングをやらせてもらったのが最初だね。
TAMA : 12歳でそういう仕事を頼まれるというのは今ではなかなか考えられない事ですが、どんな経緯でそういう話が?
そうる : 僕は横浜の鶴見育ちなんだけど、家が鉄工所でよくそこでドラムの練習をしていたわけ。家の前がちょっとした公園になっていたんだけど、そこを音楽好きの人やアメリカ軍の兵隊がよく歩いていたんだね。俺のドラムを聞いてさ、『お前面白いから叩きに来てみない?』って言われて、それで叩いたのがきっかけ。
TAMA : そこから始まったんですね、そうるさんのドラム人生が!!
そうる : そうそう、始まっちゃったんだねー、ここから(笑)。
でもね、親はすぐ辞めると思っていたの、俺三日坊主で有名だったからさ(笑)。それがさ、米軍の基地へ行くとアランドーソンの教則本や色々なものが何でもあるわけ。基地にいる人に頼むと、すぐに手に入ったしさ。あと海外のドラムやシンバルだって、当時基地から注文すると凄く安かったの。だって1ドル=\360の時代だからね。
TAMA : では、米軍の方々も基地の中でみんなバンドをやっていたんですね?
そうる : うん、凄いんだよ。みんな上手くてさ!!
バンドの数も多かったね。だから今思えば凄く面白い環境で育ったんだよ僕は。絶えずビッグバンドが周りで鳴っていたし、ロックンロールが流れていて、カントリーも流れていて。もちろんLed Zepplinとかもオンタイムの時代だからね。
TAMA : 米軍キャンプの中でどんどんアメリカナイズされた空気をダイレクトに浴びながらドラムを叩いていたわけですね?
そうる : そうそう、面白いよねー。
TAMA : ところで、そうるさんは誰かにドラムを教えてもらった経験はあるんですか?
そうる : 僕は無いの。もうずーっと叩いている感じ。あとは周りから『これいいよー』って言われる教則本を見ながら叩いたりとかね。アランドーソンの教則本やスティック・コントロール(Stick Control for the Snare Drummer)とかを叩いていたなー。
TAMA : でも色々話を聞けば聞く程、今では考えられない音楽環境ですよね?プロの現場も今とは全く違うものでしたか?
そうる : もちろん!! だって昔は歌番組のカラオケだって全て生演奏だったからね。『歌本(うたぼん)』というのがあってさ、そこにみんな番号がふってあって、『はい、8番!! はい12番!!』って言われてどんどん演奏するわけ。
TAMA : そういう環境があるのと無いのでは、ドラムのスキルアップも全く変わってくるでしょうね?
そうる : うん。あとね、やっぱり昔はドラムを叩いていて周りから怒られる環境があったと思う。そういう環境の中で、なにがなんでもっていう感じで自分を追いつめてプレイしていたからね。こういうのは大きいと思うよ。
TAMA : なるほど。ちょっとここで機材の話に移りますが、TAMAのドラムセットを使おうと決めた理由はどのようなことからですか?
そうる : うん。要するに、今の自分の気持ち、ドラムに対する自分の遊び心をTAMAさんが実際に具現化してくれたっていうこと。やっぱりこの遊び心を活かしてくれるっていうことは、俺たちドラマーにとってはもの凄く大きいわけ。これが決定的な理由だね。
TAMA : 今、実際TAMAのドラムを手にして、どんな印象ですか?
そうる : やっぱり暴れ馬っぽいよね。今は最新のブビンガを使っているんだけど、これは凄く面白いし刺激的だし、ガッツのある音で鳴ってくれている。オーケストラとかでも同じブビンガの小口径セットで叩いているんだけど、普通小口径って鳴りが点になってきちゃうじゃない?アタックだけっていうか・・・。それがこのブビンガはちゃんと発音してくれるんだよね、“ドゥーン”って。この音の表現力はホント凄いよ。だからオーケストラの人達もモニターし易いって言ってくれている。オーケストラってダイナミックスが広い音楽ジャンルだけど、このTAMAのブビンガも凄くダイナミックスが広いし、叩き方一つで色んな表情を再現してくれる。だから叩いていてとても楽しいよ、これは。
TAMA : なるほど。ところでTAMAにはこの新しいStarclassic Bubinga Omni-Tuneの他に、以前から発売されているStarclassic MapleやStarclassic Birchもありますが、そうるさんは何故ブビンガを選んだのでしょうか?
そうる : あのね、とにかくガッツのある音が欲しかったの。耳がもうメイプルになっちゃっていたし、ちょっと方向を変えてみたかったわけ。あともう一つ魅力的だったのが、あのラグだね。オムニチューンラグ。とにかくルックスが面白いし、シェルに対するウエイト感にも凄く興味が出たし、とにかく刺激的なドラムだって見た瞬間に思ったね。もう何ヶ月か使ってみたけど、やっぱり間違いは無かった。ガンガン鳴ってくれていて、エンジニアの人達の評価も凄くいいよ。
TAMA : ありがとうございます。メイプルやバーチといったポピュラーな材とブビンガを比較して、『こういう人に是非使って欲しい!!』というのがあれば教えて下さい。僕らは『ドラムといえばメイプルかバーチでしょう?!』という世代なので(笑)。
そうる : OK!! まずね、なんだかんだ言ってメイプルは立ち上がりも早いし、良く鳴ってくれるし、扱い易いドラムだと思う。ただ、さっきもちょこっと言ったように、もう耳がメイプルになっちゃっていたわけ、俺は。だから、今メイプルを使っている人で『ちょっとこの音に飽きたなー。もっと別次元の刺激が欲しいなー。』っていう人にはこのブビンガはお勧めだね。もう全然低音の出方が違うから。あくまでイメージだけど、この音は”戦車のようなジープ”って言う感じかな。その位叩いた時のフィーリングが違う。だからメイプルの音に慣れてしまっている人はショックを受けると思うよ、この音には。
それからバーチを使っている人にはなおさらお勧め!!バーチってあの独特で甘い感じがあるじゃない?僕はあのバーチの感覚凄く好きなんだけど、ブビンガはあれに鋭く尖った剣先を加えた上に、じゃじゃ馬的で且つリッチな低音を加えた感じ。だからプレイフィーリング的には若干バーチに近いと思うんだけど、その太く図太い低音は全く別次元の音だね。
TAMA : なるほど。次にそうるさんのセッティングに関してですが、8”のタムが凄く高い位置にセットされていますが、あれはどうしてですか?
そうる : 僕、実は左利きなんだよ。だから、左スタートで左から振り下ろすようなフレーズが多いわけ。そうすると左が上がってくれていると凄く楽なんだよね。あとセッティングで僕が一番こだわっているのはツーバスの開き具合かな。僕って凄く間隔が狭いんだよね。
TAMA : それはどうしてですか?
そうる : 分かんない(笑)。昔からそうだから。
TAMA : 足のテクニックを磨きたい人に何かアドバイスして頂けますか?
そうる : とにかくフットワークに関しては、もう何回も実際に踏んでみないと駄目だね。もちろん手に関するテクニックもそうなんだけど、足はなおさらで、もう踏んで踏んで踏みまくって身体で覚えないと駄目だね。そうじゃないと、いざという時に足ってロックされちゃうから。
TAMA : ドラムのテクニックは、まず手のテクニック(ルーディメンツ)、それと足のフットワーク、最後にそれらをミックスしていかに気持ちの良いグルーヴを作るかということが重要ですが、全体を通して良い練習方法、お勧めの考え方というのはありますか?
そうる : とにかく一つのフレーズを長い時間連続してトレーニングすることが重要。だからよく若い子に言うんだけど、一つのフレーズを1回叩けてOKじゃなくて、ちゃんと身体の中で消化出来てOKなんだと思う。だからダブルストロークやり始めたら1時間ずっとやり続けるとか、ずーっと同じテンポでやり続けるとかね。1曲って3分半から4分位だけど、たった3分半、4分の曲でも、ちゃんと演奏出来るためには凄く集中力が必要だからね。
TAMA : では、最後にこれをご覧のドラマーに一言メッセージをお願いします。
そうる : これってTAMAのホームページのインタビューだよね? ってことはこれを見ている人はみんなパソコンを使えてコンピューターのことが分かる人ばかりだと思うんだけど、今のドラマーにとってパソコンが分かるってことは重要だと思う。シーケンスとか色々デジタルな要素が入って来ているからね。だけどそれだけじゃなくて、アナログ的な要素、フィーリングも是非取り入れていって欲しいと思う。例えば、自分の使っているドラムの材は何だとか、フランジフープって何?とか、胴の厚さは何プライとか。最近そういうことを全く知らない若いドラマーが増えてきているからね。是非そういうアナログ的思考、自分の楽器にもっともっと興味を持っていって欲しいと思うね。
TAMA : ありがとうございました。